痔核に対しては結紮切除のみ、結紮切除にALTA注併用、結紮切除に輪ゴム結紮併用がそれぞれ3分の1ずつの割合で行っています。慢性裂肛は3徴を有する症例を適応とし、狭窄が軽度から中等度は側方切開+デブリードメントで行い、狭窄が高度な症例はSSG法を施行しています。痔瘻に対しては原発巣の位置、瘻管の走行、炎症の時期、程度で様々ですが、可及的に機能温存を考慮し、瘻管切除やシートン法を使い分けています。直腸脱に対しは会陰アプローチではGant-三輪(+Thiersch)法、Altemier法、PPH法を行い、腹腔鏡下吊り上げ固定術(H25年7例)も積極的に行っています。
肛門疾患は形態だけでなく、繊細な機能が関係しており客観的な評価が困難な領域です。当院ではH26年4月より8テャンネル直腸肛門内圧計を導入し直腸肛門機能を評価しています。
経肛門的切除(直腸腫瘍他)、経直腸鏡下内視鏡手術尖圭コンジローマ、毛嚢炎、膿皮症、尿道―膣ろう、毛巣洞、肛門括約不全、慢性便秘、排便障害、肛門痛、肛門掻痒症(真菌症含む)、直腸瘤、クローン病、悪性疾患(肛門Paget病、外陰癌、肛門癌、肛門転移)
肛門には3大肛門疾患(痔核、裂肛、痔瘻)以外にも様々な疾患が生じます。また、同じ疾患でも一人ひとり異なっており、基礎疾患、症状の程度、社会的背景、入院期間等を考慮して治療法を選択していく必要があります。当院は、日本大腸肛門病学会の専門医修練施設に認定されており、大腸肛門外科医長(岩川)を中心に一般的な肛門疾患から特殊な疾患、難治性疾患、悪性疾患に至るまで専門的かつ学術的に質の高い診療を行っています。
当院肛門外科の特徴は
具体的な治療法については福山医療センターだよりに連載した下記の*「おしりの病気」をご参照ください。
また直腸肛門の手術で人工肛門を造設された患者さんに対してストーマ専門看護師と共診でストーマ専門外来を行っています。
【おしりの病気】
1.肛門専門外来オープン
2.痔核の手術法は進歩しています
3.肛門周囲膿瘍には重篤で緊急処置を要する症例があります
4.痔瘻は専門医による治療が必要です
5.どんなにひどい痔核も 2 回に分ければ治療可能です
6.深部の痔瘻は手術が複雑で括約不全を残すことがあります
7.肛門に悪性腫瘍ができることがありますが、化学放射線治療が主流となりつつあります
8.肛門に黒子(ほくろ)の癌(悪性黒色腫) ができることがあります
9.肛門部悪性腫瘍手術に形成外科的手技を併用することがあります
10.肛門から「腸」が出てくることがあります
11.直腸脱に対しては種々の術式があります
12.小児でも直腸が脱出することがあります
13.直腸肛門内圧検査を導入しました
14.排便障害の原因の一つに直腸瘤があります
15.乳児にも肛門周囲膿瘍や痔瘻ができます
16.クローン病には、肛門病変が高頻度に合併します
17.肛門周囲に生じ、複雑痔瘻様にみられる疾患に膿皮症があります
18.高度に脱出した直腸脱や再発例には開腹による根治術が必要です
19.会陰部の悪性腫瘍に対して複数の科が共同で手術を行います
20.高度脱出の直腸脱や再発例では開腹による根治術が必要です
21.裂肛も難治性となったり、狭窄を伴うようになれば手術が必要です
22.おしりの病気を予防するための10か条