ホーム > 04 診療科 > 整形外科

整形外科

診療科の特徴

我が国では急速な高齢化社会を迎えており、脊椎・脊髄疾患や関節疾患のため、歩行などの日常生活に支障をきたしている高齢者が増加しています。当科ではこれまで脊椎と関節疾患の診療に取り組んでまいりましたが、多種の脊椎・脊髄疾患に対する迅速且つ高度な診断と治療、また人工関節置換術を中心とした関節再建を推進、発展させるために、H26年4月より当院整形外科内に脊椎・人工関節センターを設立致しました。また、当院には小児整形を専門分野とする医師も在籍しており、成人のみならず小児の患者さんの生活の機能と質を回復させることが、当センターの使命と考えております。

脊椎人工関節センターの診療状況

1.脊椎の診療状況

福山市内や近隣地域から、腰痛や頸部痛、坐骨神経痛、手足のしびれや麻痺のある脊髄脊椎疾患の大変多くの患者さんを紹介していただいています。当院では、まずレントゲン像やMRIなどの画像検査と診察による神経学的所見から疾患の状態を調べ、投薬やブロック治療など外来保存療法を第一に行います。保存療法を行っても痛みが改善しない場合や、しびれや麻痺の進行が懸念される方に対しては、一泊入院での脊髄造影検査とCTにより診断を確認し、患者さんと家族と相談しながら手術適応と術式を検討します。その際、多くの方が高齢であり、様々な基礎疾患を持つ方もおられますので、最も負担の少ない治療を行うことを目標に掲げています。

1)平成19年から平成28年までの脊椎手術件数

zu7

平成19年と平成20年に約200件の手術件数が年ごとに増加し、平成26年以降は400件以上に増え、昨年は438件の手術件数でした。紹介患者の増加、脊椎手術への理解の広がり、脊椎外科医の増員などにもよりますが、スポーツなどをされる活動性の高い元気な高齢者の増加が一番の要因と考えます。脊椎内視鏡手術の多くが高齢者に多い腰部脊柱管狭窄症に対して行うもので、この10年間に倍増しています。


2)2016年手術症例と術式

昨年1年間の手術を術式別に分類しました。
zu8半数以上を腰椎内視鏡手術が占め、腰部脊柱管狭窄症に対して内視鏡下筋肉温存型腰椎椎弓間除圧術(ME-MILD)を行い、腰椎椎間板ヘルニアに対して内視鏡下椎間板摘出術(MED)を行っています。件数は少ないですが局所麻酔下での経皮的内視鏡下椎間板摘出(PED)も行っています。
頸椎では頸椎症性脊髄症や頸椎後縦靭帯骨化症に対して頸椎椎弓形成術を行います。当院では片開き式椎弓形成術を行っていますが、約1時間半の比較的負担の少ない手術ですので、昨年は麻痺が深刻な超高齢者(最高齢95歳)にも行い、良好な術後経過でした。
腰椎すべり症や腰椎変性側弯による深刻な腰下肢痛に対しては腰椎固定術を行いますが、昨年は腰椎前後固定術(OLIF)17例、腰椎後方椎体固定(MIS-TLIF)8例でした。
重度の骨粗鬆症のため胸腰椎圧迫骨折が治癒せず、強い背部痛や麻痺が生じて当院へ紹介される方もたくさんおられます。33例に骨セメントやハイドロキシアパタイトを用いた椎体形成術と金属の内固定を行い、5例に経皮的バルーン椎体形成術(BKP)を行っています。

3)術式の変遷

hensen腰椎内視鏡手術では初期に片側進入両側除圧術を行っていましたが、徐々に応用範囲が広くより安全な現在の術式である内視鏡下筋肉温存型腰椎椎弓間除圧術(ME-MILD)に変更し、多くの方で良好な長期成績が得られています。
頸椎椎弓形成術では従来の片開き式椎弓形成術を行っていますが、平成26年から頸椎プレート(CENTERPIECE)を導入し、拡大椎弓の安定化を図っています。
 腰椎固定術では平成19年時に主力であった腰椎後方椎体固定術(PLIF)から、筋間からの経皮的スクリュウ固定(MISt)を併用した後方椎間固定(MIS-PLIFやMIS-TLIF)へ変更していますし、再手術例などで行っていた腰椎前方固定(mini ALIF)を現在は特殊な椎間ケージを用いた腰椎前後固定術(OLIF)へ変更しています。またOLIF手技を応用し、脊柱後側弯症による姿勢異常には、二期的に行う矯正固定術を平成27年から開始しています。
近年増加した圧迫骨折後の偽関節症例には、経皮的バルーン椎体形成術(BKP)を行い、病態によりMIStの併用やチタン製椎体ケージ(最近はV-liftやX-core使用)を用いた前方後方再建術を行っています。その際、人工関節センターの尽力による骨バンクから、多量の同種骨移植が行えることは当院の大きな利点です。
また近年導入した超音波手術器SONOPETにより、より安全に神経周囲での骨切除が行えるようになっています。
これらの手術をより安全に行うため、術中CT像(ISO-C使用)をベースとした脊椎ナビゲーションシステムや多チャンネル脊髄モニタリングを活用しています。

手術創内視鏡BKP_MIStMIS_PLIF

2.人工関節の診療状況

図9


人工股関節置換術(THA)と全人工膝関節置換術(TKA)、単顆人工膝関節置換術(UKA)などを合計した総人工関節置換術の10年間の手術件数は、H19年の93件から昨年の240件と、約2.5倍に増加しました。
THAは、術後の脱臼のRiskが少ない前方系のApproachで従来より手術を行っていますが、一昨年までは、侵襲の比較的少ないMini-One ApproachやDallのApproachで主に行ってきました。しかし、人工関節センターが開設された昨年より、難治例を除く85%の症例で、筋腱切離を全く行わない所謂MIS-Approach(OCM Approach)で手術を行っています。また大腿骨Implantもより短いImplantが選択されるようになりました。これらにより、術後疼痛が少なくなり、術後すぐに全荷重歩行可能となりました。従来4週間であったTHAの在院日数が最近は3週間に日数の短縮が可能となっています。
TKAは、術中、膝関節の屈曲、伸展時における靭帯バランスをとることが術後成績の向上に重要ですが、2種類のバランサーを駆使し、術後疼痛の少ない、安定感のある膝の獲得に努めています。また、TKAの必要のない内側型変形性関節症(OA)に対しては、より侵襲の少ないUKAやHTO(高位脛骨骨切り術)を症例により選択しておこなっていますが、それらの手術件数も徐々に近年増加してきています。


MIS人工関節置換術

MIS人工関節置換術

両側変形性股関節症術前

両側変形性股関節症術前

左人工股関節置換術術後

左人工股関節置換術術後

両側変形性膝関節症術前

両側変形性膝関節症術前

両側人工膝関節置換術術後

両側人工膝関節置換術術後

人工膝関節置換術

左 高位脛骨骨切り術
中 単顆人工膝関節置換術
右 全人工膝関節置換術



スタッフ

氏  名
松下 具敬(まつした ともひろ)
役  職
診療部長(骨・運動器・リハビリテーション担当)
専門分野
小児整形、人工関節、関節外科
卒業年度
昭和56年
資  格
  • ◆ 整形外科専門医
  • ◆ リハビリテーション学会専門医
  • ◆ リウマチ専門医
  • ◆ 身体障害者指定医師(肢体不自由)
  • ◆ リハビリテーション学会認定医
氏  名
甲斐 信生(かい のぶお)
役  職
整形外科医長
専門分野
脊椎、脊髄外科
卒業年度
平成2年
資  格
  • ◆ 整形外科専門医
  • ◆ 脊椎脊髄病学会指導医
氏  名
宮本 正(みやもと ただし)
役  職
整形外科医長
専門分野
関節外科、整形外科一般
卒業年度
平成12年
資  格
  • ◆ 整形外科専門医
氏  名
馬﨑 哲朗(まざき てつろう)
役  職
整形外科医長
卒業年度
平成16年
資  格
  • ◆ 整形外科専門医
氏  名
佐藤 嘉洋(さとう よしひろ)
役  職
整形外科医師
卒業年度
平成23年
氏  名
片山 晴喜(かたやま はるき)
役  職
後期臨床研修医
卒業年度
平成26年
氏  名
辻 秀憲(つじ ひでのり)
役  職
非常勤
氏  名
吉岡 孝(よしおか たかし)
役  職
非常勤

医療関係者向け専門情報

具体的な診療内容

  1. 心疾患や糖尿病、高血圧、脳血管疾患、悪性腫瘍などの合併症や既往歴のある患者さんでも、他科と連携することで診断、治療に向けて取り組むことが出来る。
  2. MRI,CT,RI,CTナビゲーションシステムなどの機器を利用して、診断と治療方針の決定、正確な手術計画が可能である。
  3. 患者さんの負担をなるべく少なくできるよう、低侵襲手術(MIS)に取り組んでいる。
  4. 脊髄モニタリングによる手術の安全性の向上が得られる。
  5. 手術室にバイオクリーン・ルームが2室あり、呼気排気装置の着用による周術期の感染予防に努めいている。また、感染対策委員会による病院全体の感染予防対策を行っている。
  6. 院内に骨バンクを設けており、骨欠損の大きな患者さんにも同種骨移植で対応できる。
  7. 輸血による病気の伝染を防ぐために、輸血の必要な手術では術前、術中に自己血を貯血している。
  8. DVT(深部静脈血栓)やPE(肺梗塞)の予防を行っている。またこれらの合併症の診断治療は当院の循環器内科と連携して行える。

  

対象疾患

1)脊椎疾患: 脊椎後縦靱帯骨化症、頸椎症性脊髄症、脊柱管狭窄症、脊椎骨折、椎間板ヘルニア、脊椎・脊髄腫瘍、関節リウマチ、脊髄損傷など

2)関節疾患: 変形性股関節症、大腿骨骨頭壊死、変形性膝関節症、膝関節骨壊死、
関節リウマチ、関節炎、人工関節のゆるみ、関節外傷の後遺症など

治験受け入れ可能な疾患


PAGE TOP